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壊滅的な行動をする人2

  • シリーズ2

ある人は酒をめぐって夫婦喧嘩が絶えない家庭に育ちましたが、子供なりに父親の飲酒の原因を観察したのでしょう。
母親があまり父親をなじるから、父親が酒を飲んで暴れるのだ、という意味のことを母親に告げました。

すると母親は烈火のごとく怒って「二度とお母さんにそんな口のきき方をしたら、どうなるか覚えておおき」と叫びながら、彼が一番大切にしていたオモチャを床にたたきつけて壊したうえ、その日は昼食も夕食も作ってはくれなかったということです。

この人の特色は、考え事をする段になると、どうしても酒が必要になるということでした。また人前で自分の意見を述べることが最も不得意で、やむを得ず、その任を果たす時も必ず飲酒してその場に臨むのです。

彼は「考える」ことを十分に学習していないと分析することができます。母親を批判した時は、正しく観察し正しく考えたのですが、彼の合理的思考の芽生えは無残にも、母親によって摘みとられてしまったのです。

この種の体験をくり返す時、子供は母親の保護と愛情を維持するには、考えない方がずっと効果的だと感じるようになります。つまり考えてはいけないという禁止令が与えられるのです。

先に紹介した患者さんの例でも、父親の行う破壊的状況を容認しなくてはならないという命令は「考えてはいけない」という禁止令と言い換えることができます。そのような不快な状況を容認することは、深く考えていてはできないことだからです。

アルコール依存症患者には、酒を飲むと頭が回転して、よい考えが浮かぶと話す人がかなりいます。また一見、べらべらと早口で話し、その内容も豊富であるかのような印象を与えます。

しかしよく観察すると、結局ぐるぐると同じようなことを話していることが分かります。これは物事について、系凍立ててじっくりと考えたり、まとまった話をするという学習ができていないことを意味します。
この場合、次々といろいろなことを早口で話すのは、思考が活動しているのではなく、アルコールの麻痺的効果によって C が一時的に解放された現象に過ぎません。

この種のアルコール依存症患者は、心理療法を受けても、なかなか自分のこのにゆいて話すことができません。酒を飲んだら心の中を洗いざらい話すから、一緒に飲んでくれと治療者を誘惑することも少なくありません。
しかしこれにひっかかると、病気を悪くするばかりか、治療者も共倒れに終わる可能性が高くなります。

患者に必要なものは、まず「考えてもよろしい」「自分こと、親のことを自由に話してもいい」という、禁止令を解くための「許可」が力を発揮するためには、脳がアルコールによって麻痺していない、断酒の状態にあることが前提となります。

最近の世相はこの禁止令に満ちているといえましょう。みなさんも「何であんな馬鹿なことをするんだろう?」「ちょと考えれば、どんな結果になるか分かりそうなもんだが…」と首をかしげたくなる事件が続いています。

例えば
〇ホワイトハウスに盗聴器を仕掛けて、自らを辞任に追い込んだ大統領

〇女性問題で世間のひんしゅくを買い、身を引いた総理大臣、検事、知事たち

〇人生をかけて手に入れた大臣のポストを、ひと言の失言で手放す政治家たち

〇拾得金横領、ピストル強盗から始まり、覚醒剤使用のもみ消し、同僚女性への恐喝未遂など、次々に明けるみに出る警察内部の不祥事

〇肺の手術の予定の患者さんと心臓の手術の予定の患者さんをとり間違えて手術した病院。その他、薬剤や注射液の取り間違えによるミスや事故など

これらの出来事は、誰が見ても思慮と常識を欠いています。「考えてはいけない」という禁止令が強力な形で支配していることは明白です。
交流分析でいえば、A が働いていないのです。

米国では、かつてクリントン大統領の女性問題で一年余りの弾劾劇がくり広げられました。しかし政治都市ワシントンの過熱ぶりと多くの米国民の冷めた反応は最後までかみ合いませんでした。
まさに国をあげてのパロディ劇といえましょう。大統領夫人のヒラリー女史は「ビルの生育歴に問題の根があるようです」と解説しています。

1996年にクリントン大統領は「私はアルコール依存症の継父が暴力を振るう家庭に育ったアダルト・チャイルド」と告白し、その後この概念が広く認知されるようになりました。
今日この言葉は「家族関係がうまくいかない家庭に育てられ傷ついた人」まで含めて広く使われています。
専門家たちは、アダルト・チャイルドを生み出す家庭として次の点を指摘します。

〇家庭メンバー間の葛藤は否認され、無視される。

〇不適切な行動や苦痛に対する耐久性があいすぎる。

〇悪い出来事を他人に知られないために、近所の人と交わらない。

〇家庭への偽りの忠誠が求められる。

〇家族には「話すな」のルールがあり、意見を述べても受け入れてもらえない。

このような閉鎖的なコミュニケーションと秘密の共有を強要されて育つ子供に、この禁止令が発信されても不思議ではないように思われます。

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