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子離れできない親たち

  • シリーズ2

「成熟した女性(男性)になってはいけない」

容姿や人柄、あるいは他の条件が決して悪いとは言えないのに、なぜか結婚できない人がいます。
ここでは、N子さんの例をみてみましょう。N子さんの両親は、二人とも進歩的なインテリタイプで、社会的にも幅広く活躍しています。
結婚に関しても、N子さんは「お前が選んだ人であれば、誰と結婚しても何ともいませんよ。お父さんもお母さんも、お互いに好きで結婚したんだから」と言われてきました。

ところが、彼女はこれまで何度か男性と恋愛しましたが、いざ結婚となるとそれを中止せざるを得ないような何事かが起こり、なかなか話がまとまらないのです。

このような人目には好条件を備えている女性がよい縁談に恵まれなかったり、何度も離婚して実家に戻るといったケースにも、禁止令が関係していることが多々あります。
N子さんの場合も実は、先の親の言葉とは正反対のメッセージが、彼女の心のなかに送られていたのです。

女の子ばかりの姉妹の長女として育ったN子さんは、子供の頃から「この子が男の子に生まれていたらねー…」とか「うちも男の子がいれば安泰なんですが…」といった親の会話を、時には枕元で、時には親族が集まった場で何度となく聞かされていました。

適齢期になったN子さんには、このような言葉が「お前が養子をとってくれば、お母さんは嬉しいよ」とか「お父さんたちの老後は、お前に見てもらいたいものだ」といった響きを伴って聞こえてくるのです。

すなわち、彼女の心の受信機は「お前ももう一人前の女性だ。結婚して幸せになりなさい」という親の P の声の他に「お前がいなくなると寂しくなるよ。私たちから離れないでちょうだい」という親の C の声が、禁止令として強く響いてきます。

すると、それを満足させなければならないという義務感が起きて結婚問題には、ついついブレーキがかかることになるというわけです。

このように親子の交流では、言葉にならない、あるいは言葉の背後に隠れた態度や行動の方が子供の養育に重要な意味を持つことが少なくありません。
口先だけれ子供を褒めたり励ましたりしても、親たちの内心の不信や不安が表情や行動に出ていては、だいぶ違ったメッセージちして伝達されてしまいます。

また人間の強い感情(愛や憎しみ)はなかなか言葉になりにくいもので、それは親から子へ、子から親への触れ合いによって伝わることが多いものです。親としては、子供をジレンマに陥れて正しく成長するのを妨げたり、成人後、本人の自覚のないままに不適応をくり返させるようなことをしないようにしたいものです。

この禁止令には親の過保護、過干渉がつよく作用しています。とくに母親が、子供を自らの延長、付属物のごとく見なす場合が問題です。

また親自身の成長過程における突然の愛情喪失(死別、拒絶)が影響していることもあります。こうした体験(トラウマ)を持つ人は、自分が親になっても、幻想のなかで母子の一体感を存続させようとするのです。

次のようなお話のなかに、この禁止令が働いているのではないでしょうか。
〇夫は洋服がほしい、お金が足りない、風邪をひいたといっては、私に相談せずに姑のところに行くのです。
姑は私が熱でも出せば「息子と孫にうつる」と、夫と娘を連れて帰ってしまうのです。夫に抗議すると「年寄りの寂しい気持ちがわからないのか」と怒鳴るばかり。乳離れできていない夫も歯がゆいが、子離れできていない姑にもあきれています。

〇ある主婦は言いました。「未婚の母でもいいから家で子供を産んでくれないかしら。私が育てるから」東京で親と同居する二十代の約40%は、全く親にお金を渡していないそうです。
高くなった父親の給与をバックにして、母親二人で消費を楽しんでいる、こんな関係を「一卵性母娘」とか「パラサイト・シングル」というそうです。

〇ある幼稚園の園長さんがこぼしています。
「半数の子供が入園時に自分でトイレに行けないのです。今の親は『先生にお任せ』という発想で、最低限のしつけも放棄しているのです」「経済的に困っているわれでもないのに、給食費や教材費を払わないのです。微熱が出た子供を二泊三日の林間学校に参加させ、自分たちは旅行に行ってしまうのです」

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