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男女関係のトラブルメーカー

  • シリーズ2

「ラポ」

これは男女間で行われるゲームですが、その加害者を演じるのは多くの場合男性で、女性は被害者になります。
ラポとは、英語のレイプ(強姦)という言葉をもじったもので、性的トラブル性犯罪に潜む心理的からくりを究明しようという意図から、つけられた名称です。

このゲームには、軽い恋愛遊戯から、複雑な三角関係、離婚訴訟、さらには自殺や他殺にいたるまで、さまざまなタイプがあります。
この場合、男女とも異性に対する根深い敵意やコンプレックスに動機づけられているために性行為そのものよりも、異性との交流を通して病的な満足(例.異性に対する復讐を果たす)を得ようとします。

その主なタイプを三つあげてみましょう。
〇相手を翻弄するタイプ・・・これは演技性性格の人がたわむれ気分で(しばしば無意識的に)演じるものです。
女性はコケティッシュな振る舞いで男性の注目を引き、男性は自己愛から女性と関係しながら、土壇場(求愛)で相手に肘鉄砲を喰らわせます。
この段階で、一変した相手の態度が理解できず、文字通り「女(男)心と秋の空」という気分を味わうことになります。少し自信過剰の自己愛タイプの男性ですと、軽蔑のまなこで「私はセックスの対象じゃないのよ!」とぴしゃりと跳ね返されます。取り残されは彼は、さもしいことをしたという自己嫌悪にかられるのです。

〇修復を拒絶するタイプ・・・これは相手の不当な仕打ちを盾に、関係の改善をあくまで拒むというものです。
結婚生活の例でいうと、日頃からワンマンで「一言多い」夫に対し、忍の一字で耐えてきた妻が夫の胸をグサリと突くような言葉を吐いて、破局のピークのお膳立てをします。
これに乗った夫は、ある日ついに開戦の火蓋を切ってしまうのです。「母の悪口を聞いたら、怒りがぐっと込み上げてきて…しかし君を殴ったのは悪かった」と実家に戻った妻の前で謝罪する夫。
しかし「暴力は愛情のない証拠。やり直しなど論外です」と、テコでも動かない妻。周囲も手を尽くして説得に努めますが、どうしても許せないの一点張り。
最終的には家裁の調停も実らず、数年続いた関係も離婚へと進んでしまうのです。男性は意識改革を迫られているのに、一発の殴打を悔いるのみで、自分を加害者とは思えず、割り切れぬ思いを抱き続けるのです。

〇悲劇を生むタイプ・・・これは障害、殺人、自殺といった悲劇で結末がつく重篤なタイプです。「犯罪の陰に女あり」という類の出来事の裏には、この種の「ラポ」が演じられている可能性があります。
一般にこの種の「ラポ」は、不倫の関係をこじらせて、誠意を示せとか、一生をダメにされたと訴えるというものです(交流分析は、この種の性犯罪がすべて女性側の挑発によって起こる、などという暴論を唱えるものではありません)
『リップスティック』というアメリカ映画がありました。米国で実際に起きたレイプ事件を素材にした映画ですが、裁判で加害者の男性が無罪になったのに怒った女主人公が、ライフルで加害者を射殺する強烈なラストシーンが話題を呼びました。あらは法廷の審理が女性側に不利にできていることに対し、女性は泣き寝入りしないという抗議と解することができましょう。
しかし同時に、結末で復讐が殺人という形をとる点も問題ではないでしょうか。ストーリーの初めの部分で、女主人公がかなり誘惑的に振る舞い、男性を無視する場面と合わせて、交流分析の観点から、全過程を再検討してみたら、別の結論が出るかもしれません。

「ラポ」は一般的に、勝ち気で男勝りの女性や、自己愛のつよいマザコン男性によって演じられますが、特に「悲劇を生むタイプ」は異性を支配し、主導権を自分のものにしたいという願望の強い人に見られます。

これに対し「修復を拒絶するタイプ」は、どこか意地っ張りで、相手をやっつけ抜いて満足する、サディズム的な面のある人によって演じられることが多いようです。男性はドルファンといわれるタイプの人がラポを演じます。

最近セクシャルハラスメントをめぐるトラブルが多発していますが、この問題に詳しい金子雅臣氏は、男性の中に加害者男性に同情する者が多い事実を指摘し、その理由が被害者女性が彼らが求める「女らしさ」から逸脱していることへの反感にあると分析しています。
セキハラの主役の男性たちは、例外なく自らの思い描いたジェンダー(心理的性別)の延長に自分勝手なストーリーを組み立てているというのです。
また精神分析医の牛島定信教授は、キャリアウーマンの上司からいじめに近い仕打ちにあっている男性社員のケースを紹介しておられます。この種の“逆セクハラ”は、男性と対抗意識をもちやすく、ある種の男性を圧迫し、支配下におさめないと満足できないタイプの女性によって行われると述べておられます。

ゲームには、表面の交流様式の奥に隠された動機に焦点を当ててます。今日、対応の急がれるセクハラの一部には、ゲームの視点から解明と対応が求められるケースもあると思われます。

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