あなたの中の三つの私
- シリーズ2

M夫人は、手術を受けた後の痛みがなかなかとれないので、心理療法を含む心身両面からの治療をうけています。
彼女は日本舞踊の先生で、茶道や華道についても造詣が深く、入院当初は看護師さんたちの人気を一身に集めていました。
ところが、日がたつうちに看護師さんたちの気持ちは困惑に変わっていきました。
自分の息子ほどに年齢の差がある二十代の主治医に対して、まるで子供のような態度を示すようになったからです。
主治医が不在のときなどは「先生はどこ?いつ戻るの?」としつこくたずね、ひとたび主治医の姿を見つけると、急に痛みの訴えがなくなり、人目もはばからず、満面に笑みを浮かべて、甘えた口調で話しかけるのです。
しかし、こうした子供っぽい態度が目につくかと思えば反面、踊りの弟子から電話がかかってくると、にわかに顔つきも変わって、テキパキと専門的な助言を与えるという具合に態度が一変してしまうのです。
また看護師さんが茶道や華道について質問すると、親身になって筋道の通った説明をしてくれます。
さてこのいくつかの顔をもったM夫人にとって、どれが本当の顔なのでしょう?
M夫人の例を見て気付かれたでしょうか。
そうです!人間はみな自分の内部に三つの私を持っている!これが交流分析の基本になる考え方です。
それぞれの私は、感情・思考・行動様式に一連の特徴があり、これを「自我状態」と呼びます。
☆次回はこの三つの自我状態をみていきます!
